第17回日本獣医がん学会に出席しました。
今回のメインテーマは消化器型リンパ腫です。
猫では悪性腫瘍(がん)の約30%は造血器系(血液関係)腫瘍であり、その50~90%がリンパ腫です。以前は若い猫で胸に水が貯まるタイプが多かったのですが、最近は10歳以で腸に腫瘍ができるタイプが多くなっています。その中でも塊ができないため超音波検査で疑いがある場合は開腹手術を行い検査機関に組織を送らなければ確定できない高分化型(小細胞性)リンパ腫が増えています。治療は抗がん剤になりますので、当院ではよく飼い主様とお話をして、治療計画を立てています。
犬では柴犬の慢性の胃腸障害(食欲不振、嘔吐、下痢)で今まで炎症性腸疾患(IBD)と診断されていた中にこの高分化型リンパ腫が含まれているであろうという話が出ました。確定は難しく当院にある内視鏡で通常はIBDの診断がつくのですが、この中にあるかもしれない高分化型リンパ腫を考えながら、今後は治療することになります。
今回の学会では学会が認定する認定医Ⅰ種とⅡ種の合格者に対しての認定証授与式がありました。当院の淺田慎也獣医師はⅡ種に合格したのですが、手続きが間に合わず、当日認定証はもらえませんでしたので、後日届いた時点で改めてご紹介します。富山県内ではこの「獣医腫瘍科認定医Ⅱ種」を取得して各病院で常勤している獣医師は4名でうち2名(私を入れ)が当院ですので、今まで以上に腫瘍に対しての治療やそれ以外の腫瘍に関連した種々のご相談もお受けできると思います。
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院長 吉田俊一
