病院限定一般食・療法食をご購入の方へのお知らせ

原材料及び、輸送コストの上昇の為

ロイヤルカナン製品は一部を除き
10月より値上がりしますのでご了承ください。

今月の病気⑥ メガバクテリア症(マクロラブダス症)

メガバクテリア症(マクロラブダス症)

小鳥科 井出いづみ
 今回は鳥の診察でよくみられるメガバクテリア症(マクロラブダス症)についてお話します。
 主にセキセイインコで、嘔吐、食欲不振、元気消失、時に黒色便などの症状を主訴に来院され、糞便検査をすると大型の長い菌体が検出される事があります。
 これがメガバクテリア、真菌の仲間で胃に生息します。
 セキセイインコ以外にもコザクラインコ、マメルリハ、カナリア、キンカチョウなど他多くの鳥種で感染が確認されています。
メガバク.jpg
 メガバクテリアは幼鳥の頃に親鳥からの給餌によって感染するのが一般的で、それ以外では同居の感染鳥の糞便を摂取することで感染します。そのため幼鳥時に発症することが多いのですが、症状が出ないまま(メガバクテリアを保有したまま)成鳥になっている場合も多くみられます。そしてそのようなケースだと、飼い主さんが気づかない間にメガバクテリアが徐々に胃粘膜を傷害し、メガバクテリアを駆除したとしても、嘔吐などの胃炎症状が慢性化し、胃がもとに戻らず、治すことがとても難しくなってしまいます。
 ですから、メガバクテリア症を防ぐには早期の発見と駆除がとても大切です。セキセイインコのヒナをお迎えしたら、なるべく早いうちに健康診断を受けましょう。そして成鳥においても、ふだん何も症状が出ていなくても是非一度は健康診断を行い、健康寿命を伸ばしてあげてほしいと思います。

敬老の表彰!

平成30年の敬老の表彰を9月15日より行います。

2018敬老ランキングHP.png
表彰動物達の内訳です。
・小型・中型犬 67頭
・大型犬   12頭
・超大型犬  3頭
・猫     45匹
・ウサギ   3羽
・ハムスター 2匹
・フェレット  3匹
・小鳥    8羽
の合計143です。
今年は表彰状・ランキング表・粗品のタオル以外にシニア期のための各種サプリメントのサンプル、鍼灸施術の割引券、
消臭・消毒剤のサンプル等もお渡しします。
<犬用>
犬用
<猫用>
猫用

今月の病気⑤ 短頭種気道症候群

短頭種気道症候群

外科 淺田慎也

 フレンチブルドックやパグ、ボストンテリアなどに代表される鼻が短い短頭種と呼ばれる犬種にみられる呼吸困難(いびき様の呼吸音や睡眠時無呼吸など)を総称して短頭種気道症候群と言います。これらの犬種は特徴的な顔立ちにするために交配を重ねた結果、鼻孔が狭かったり(鼻孔狭窄)、軟口蓋と呼ばれる喉の奥にあるひだが長かったり(軟口蓋過長)などの、生まれつきの構造の異常を一つまたは複数持つことによって呼吸に障害が出ます。特に夏場や興奮した時は呼吸困難を生じてチアノーゼを起こしたり、呼吸困難によって体温がどんどん上昇し熱中症になったりと命に関わる状態になる可能性があります。若い時はほとんど症状がなかったとしても、加齢により軟口蓋が徐々に肥大したり、肥満などによって中齢以降で症状が悪化してくる場合もあります。

 また、このような呼吸に問題がある犬の中には、普通の犬よりも嘔吐しやすい(フードや胃液、泡など)犬もいます。短頭種でみられるこれらの消化器症状は、詳しいメカニズムはわかっていませんが、短頭種気道症候群が原因となっているケースが多いとされています。

 これらの問題の原因は構造上の異常であるため、その治療は内科治療ではなく閉塞の原因を外科的に取り除くことが必要になります。今回はその中でも鼻の穴を拡げる鼻孔拡大術と軟口蓋過長の切除手術をご紹介します。

鼻孔拡大術

7.png

図1が短頭種ではない犬種の狭窄していない鼻孔で、図2がフレンチブルドックの狭窄した鼻孔です。比べると閉塞しているのが一目瞭然で、これが呼吸困難の一因となります。図3が鼻孔拡大後の画像です。正常な広さまで拡げるのは困難ですが、全く塞がっていた鼻孔を開くことが目的になります。

 鼻孔拡大にはいくつか方法がありますが、当院では皮膚生検パンチという直径3〜6mmの丸い刃のついた器具を用いて行います。メスで切除するよりも左右対称に手術を行えるという利点があるため、これを用いています。術後は足で掻いたり、床でこすったりしないようにエリザベスカラーを着ける必要があります。

 続いては軟口蓋過長の切除手術についてです。軟口蓋とは喉の奥にあるひだの様な構造物で、上下に動いて食道と気道に対して蓋の様な役割をしています。つまり物を飲み込むときはフードが気道に入らないように(誤嚥しないように)、気道に蓋をします。また息を吸うときには食道に蓋をして、食道に空気が入らないように動きます。この軟口蓋が長く・厚くなることが軟口蓋過長で、呼吸のたびにいびきの様な音がしたり、息が詰まったりする原因になります。そして長くなった軟口蓋を短くするのが軟口蓋過長の切除手術です。

 軟口蓋を切除する方法は、①メスで切除して吸収糸(時間が経つと溶ける糸)で縫合する、②半導体レーザーで切除する、③炭酸ガスレーザーで切除するなどいくつかの方法がありますが、当院では③の炭酸ガスレーザーを用いており、これは3つの中で最も出血も術後の腫れも少ないと言われています。

4.JPG  炭酸ガスレーザー

5.png

切除前:矢印の部分が余分な軟口蓋です。点線部を目安に切除します。

6.pngのサムネール画像

切除後:半円形に切り取ります。切除直後の画像ですが、出血は全くありません。

切除し過ぎた場合は鼻へフードや水が逆流することもあり、逆に切除が足りない場合はいびき様の呼吸は改善しないので、正しい位置で切除する必要があります。

 当院ではこの2つの手術により、短頭種気道症候群の呼吸障害の治療を行なっています。全ての短頭種で手術が必要な訳ではなく、呼吸障害がある・もしくはその兆候がある症例で必要となります。そのような症例は、なるべく早期の手術をお勧めしており、去勢・不妊手術の際に上記の手術を一緒に行うこともあります。治療を行わずに呼吸障害の状態が続くと、軟口蓋過長が進行したり、喉頭虚脱という別の症状が起こり、更に悪化する可能性もあります。

 短頭種気道症候群は内科治療だけでの改善は難しく、また治療をしなければどんどん悪化していく可能性がある病気です。呼吸障害が重度な症例や手術を悩んでいる場合はご相談ください。

カテゴリー

アーカイブ