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獣医師コラム

愛犬との散歩を楽しもう!基本から学ぶ上手な散歩の仕方

犬の散歩は、飼い主様と愛犬の絆を深める貴重な時間です。

共に過ごすこの時間は、単なる運動だけでなく、愛犬の心身の健康を保つための大切な役割を果たしています。

 

しかし、散歩中に引っ張り癖や他の犬に吠えてしまうなどの問題行動に悩む飼い主様も多いのではないでしょうか。

 

今回は、散歩の価値を改めて考えながら、疑問や悩みを解消するための具体的な方法をご紹介します。

 

 

■目次
1.散歩の目的と効果
2.散歩の基本的な準備
3.理想的な散歩時間と頻度
4.散歩中のマナーと注意点
5.散歩後のケア
6.よくある問題行動への対処法
7.季節別の散歩の注意点
8.まとめ

 

散歩の目的と効果

散歩には次のような重要な役割があります。

 

社会化

外の環境に触れることで他の犬や人、音や匂いに慣れていきます。この過程を社会化といい、正しい社会化によって愛犬の不安感が和らぎ、精神的な安定につながります

 

ストレス発散

外気を吸い、探索することで犬の本能的な欲求を満たします。これにより、愛犬のストレスを軽減させる効果があります。

 

健康維持

運動不足を防ぎ、肥満や関節疾患、心肺機能の低下などを予防することで、健康を維持します。

 

散歩の基本的な準備

散歩を安全かつ快適に行うために必要な準備をご紹介します。

 

必要な持ち物

・リードやハーネス、首輪

逃げ出したり、他の犬とトラブルになったりすることのないように、愛犬を制御できる装備が必要です。必ずサイズの合ったもの(自由過ぎず窮屈過ぎないもの)を装着し、出かける前に切れたりちぎれそうになったりしていないか確認しておくと安心です。

 

・マナー袋

排泄物は持ち帰るのが飼い主様の責任ですので、必ず持ち歩くようにしましょう。

 

・お水

途中で水分補給をさせたり、排泄物を洗い流したりするために使います。

 

・雨具や防寒具

天候や気温に応じて対応しましょう。気温が低い日や雨が降っている日などでも、できるだけ快適に散歩ができるような装備があると安心です。ただし、あまりに寒い日や雨の激しい日、暑い日などは無理に屋外を散歩する必要はありません。

 

散歩前の健康チェック

元気や食欲があるか

どこか庇うような様子など、歩き方に異常がないか

排泄物に異常(下痢や血尿など)がないか

 

理想的な散歩時間と頻度

犬種や体格によって適した散歩時間は異なります。

 

犬種・体格  1回あたりの時間(目安)  1日あたりの回数(目安)
小型犬 20~30分 1~2回
中型犬 30~40分 2回
大型犬 60分程度 2~3回

 

その日の体調によっても適切な散歩時間や頻度は変化します。無理のない範囲で愛犬の体力に応じた運動量を心がけましょう。

 

散歩中のマナーと注意点

散歩は愛犬との大切な時間であると同時に、周囲への配慮や愛犬の安全管理も求められる場面です。以下のポイントを意識して、安心で快適な散歩を楽しみましょう。

 

安全面に配慮する

交通量の多い道や人通りが極端に多い場所は避け、愛犬を飼い主様の横につけて歩かせるようにしましょう。

 

リードは輪の部分を手首に通し、手のひらで紐部分を1周させてから握ると、急に引っ張られても手から抜けにくくなります。また、拾い食いなどの危険行為を防ぐため、普段から室内で「放せ」「ダメ」などの指示を教え、散歩中も従えるように訓練しておきましょう。

 

犬の拾い食いについてはこちらで解説しています

 

愛犬の様子をよく観察する

歩く際は、犬の体力や年齢に合ったペースを心がけ、無理をさせないように注意します。愛犬が立ち止まる理由には、匂いを嗅いで探索している、疲れている、または恐怖を感じているなど、さまざまな可能性があります。愛犬の行動や表情を観察し、その状況に合った対応を心がけてください。

 

歩行者や他の犬に配慮する

歩行者や他の犬とすれ違う際は、リードを短く持ち、愛犬を自分の体に寄せて、いつでも制御できる状態で歩かせましょう。攻撃性のありそうな犬が近づいてきた場合は、ルートを変更してすれ違わずに済むようにするなど、トラブルを避ける工夫をしてください。

 

排泄物を適切に処理する

便は必ずマナー袋に入れて持ち帰り、自宅で処理します。尿は持参したお水で流しておきましょう。もし道路を汚してしまった場合も、汚れた場所をしっかりときれいにすることが飼い主様の責任です。

 

散歩後のケア

足裏を拭いて清潔にし、軽くブラッシングをして虫がついていないか確認します。十分な水分補給を行い、ほめたりなでたりして軽いスキンシップをとりましょう。

 

よくある問題行動への対処法

散歩中に起こる問題行動は、愛犬との関係を築く上で、適切な方法で対応することが重要です。以下に代表的な問題行動への対処法をご紹介します。

 

引っ張り癖

散歩中に最も多くみられる問題行動の一つです。犬は前進したいという欲求からリードを引っ張ることがありますが、「引っ張っても進めない」というルールを教えると効果的です。具体的には、犬がリードを引っ張ったら立ち止まり、引っ張るのをやめたら再び歩き始めます。この動作を繰り返すことで、引っ張ると前に進めないことを学ばせましょう。

 

他の犬に反応してしまう

散歩中に他の犬に反応してしまう場合、安全な距離を保ちながら対応することが大切です。反応しそうなタイミングで愛犬の名前を呼び、注意をそらしてみてください反応せずにいられたときは、しっかりと褒めてあげることで、落ち着いた行動を促すことができます。

 

季節別の散歩の注意点

最後に、季節ごとの注意点にも触れておきます。

 

夏の散歩

夏場の日中の散歩は、犬にとって特に注意が必要です。犬は人間よりも地面からの熱を受けやすく、熱中症を引き起こす危険があります。そのため、アスファルトが熱くなる前の朝方や、日が沈んだ後の涼しい時間帯に散歩を行い、安全に配慮しましょう。

 

犬と猫の熱中症についてはこちらで解説しています

 

冬の散歩

一方、冬場は寒さ対策が必要です。犬用の服やアウターを使って体温を調節し、特に気温が低い日には散歩時間を短めにすると良いでしょう。道路が凍って滑りやすい箇所は避け、安全な経路を選んでください。また、外出が難しい日には、室内でおもちゃを使った遊びや軽い運動を取り入れて運動不足を防ぎましょう。

 

まとめ

犬との散歩は、愛犬の心身の健康を保つだけでなく、飼い主様との信頼関係を深める貴重な時間です。散歩を通じて適度な運動や刺激を取り入れることで、愛犬の健康維持やストレス解消にも役立ちます。毎日の散歩が安全で楽しい時間となるよう、今回ご紹介したポイントをぜひ参考にしてみていただければと思います。

 

 

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