犬のしつけの基本|獣医師が解説する「おすわり」「まて」「おいで」の簡単マスター法
犬との暮らしに欠かせないのが「しつけ」です。「おすわり」「まて」「おいで」などの基本コマンドを覚えることで、毎日の生活がより快適になり、安全面でも大きな安心につながります。
とはいえ、実際にどう教えればいいのか分からず「うちの子は覚えられないかも」と不安になる飼い主様も少なくありません。当院にもそうしたお悩みを抱える方が多く来院されますが、しつけは「できる・できない」を問うものではなく、愛犬と心を通わせるための大切なコミュニケーション手段です。
今回は、「おすわり」「まて」「おいで」といった基本のコマンドの教え方を、実践しやすい方法でご紹介します。
■目次
1.コマンドを覚えるメリットとは?
2.教え方の土台「アイコンタクト」から始めましょう
3.【ステップ1】「おすわり」の教え方
4.【ステップ2】「まて」を教えるには
5.【ステップ3】「おいで」は命を守るコマンド
6.まとめ|継続のコツとしつけの考え方
コマンドを覚えるメリットとは?
「おすわり」「まて」「おいで」などの基本的なしつけは、犬の安全を守るうえで非常に重要です。
たとえば、以下のような場面で役立ちます。
・「おいで」ができれば、リードが外れたときにもすぐに呼び戻せる
・「まて」ができれば、拾い食いや飛びつき、突然の飛び出しを防げる
・「おすわり」は、落ち着いて行動する練習にもなる
こうしたコマンドは、飼い主様との信頼関係を深め、犬自身の不安や混乱も軽減することにつながります。
最初からうまくできなくても大丈夫です。できるようになる過程を一緒に楽しんでいきましょう。
教え方の土台「アイコンタクト」から始めましょう
すべてのしつけの基本は「アイコンタクト」です。犬の名前を呼んで、目が合ったときにしっかり褒める。この積み重ねで、飼い主様の声にしっかり耳を傾けられるようになります。
<コツはやさしい声と笑顔>
高めの声でやさしく名前を呼ぶことで、犬は安心してこちらを向いてくれます。
「うちの子は名前を呼んでも無視してしまう…」という場合は、おやつなどを使って目を引くところから始めてみましょう。
【ステップ1】「おすわり」の教え方
「おすわり」は最も教えやすいコマンドのひとつです。
<教え方の流れ>
- 犬の鼻先におやつを持っていき、ゆっくり頭の上に動かす
- 自然とお尻が床についたら「おすわり」と声をかける
- その場ですぐに褒めて、おやつを与える
この流れを繰り返すことで、犬は「おすわり」の意味を理解していきます。毎日のごはん前やお散歩前など、生活の中に取り入れることでより覚えやすくなるでしょう。
【ステップ2】「まて」を教えるには
「まて」は落ち着いて行動する練習にぴったりです。「おすわり」ができるようになったら挑戦してみましょう。
<教え方の流れ>
- おすわりさせた状態で、手のひらを犬に見せながら「まて」と伝える
- 数秒待たせたあと、「よし」と声をかけておやつを与える
- 少しずつ待てる時間を伸ばしていく
解除の合図は毎回同じ言葉に統一し、タイミングも明確にすることが大切です。また、教えるときには飼い主様が落ち着いた態度で一貫した対応をとることで、犬も安心して指示を理解しやすくなります。
距離をとっても待てるようになると、お散歩中など外出時にも役立ちます。当院では、診察のあとに飼い主様が先に待合室に出て「まて」「おいで」の練習をすることもありますよ。
【ステップ3】「おいで」は命を守るコマンド
「おいで」は、万が一のときに愛犬の命を守る大切なコマンドです。
<教え方の流れ>
- 短いリードをつけ、しゃがんで「おいで」とやさしく呼ぶ
- 犬が来たら笑顔でたっぷり褒めて、おやつを与える
注意点として、爪切りや注射など犬が苦手なことの直前には使わないようにしましょう。「おいで」がイヤなことと結びついてしまうと、呼んでも来なくなってしまいます。
「呼ばれる=うれしい」「来ると褒めてもらえる」というイメージづけが大切です。
まとめ|継続のコツとしつけの考え方
「おすわり」「まて」「おいで」は、どれもすぐにできるようになるものではありません。大切なのは、焦らずにコツコツと続けることです。
<しつけを成功させるポイント>
・褒めることを基本にする:叱るよりも、できたときにしっかり褒めるほうが覚えやすくなります。
・犬の性格やペースに合わせる:犬種や性格によって、覚えるスピードは違って当然です。
・毎日の生活に取り入れる:食事前や散歩の前など、習慣づけることで自然と覚えてくれます。
吉田動物病院では、しつけ教室の実施のほか、しつけに関するご相談も随時受け付けています。診察中の様子を見ながら、その子に合ったアドバイスをお伝えすることも可能です。
「しつけがうまくいかない」と悩まなくて大丈夫です。できることを一緒に増やしていく過程そのものが、愛犬との大切な時間になります。
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