獣医師コラム

動物の漢方治療について|自然の力で健康を守る

動物の健康管理において、近年、漢方治療への関心が高まっています。

漢方治療は、副作用が少なく慢性的な問題に対しても効果を発揮することから、動物のケアにおいても有効な手段として注目されています。

 

本記事では、犬と猫の漢方治療の基本から、その利点、具体的な治療例に至るまで、幅広い情報を提供します。

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■目次
1.漢方治療とは
2.漢方が選ばれる理由
3.漢方によって効果のある疾患
4.漢方治療を行う際の大切なポイント
5.施術の流れ
6.実際の事例紹介
7.術後のケア
8.まとめ

 

漢方治療とは

漢方治療は、中国の伝統医学に基づいた治療法であり、体全体のバランスと調和を重視しています。その歴史は数千年にわたり、人間だけでなく動物への応用も古くから行われてきました。

漢方治療の基本原則は、全身を一つのシステムとして捉える「病気ではなく病人をみる」にあり、症状の表面的な治療だけでなく、根本的な原因にアプローチすることを重視しています。

 

漢方の有名な考え方としては、気血津液弁証といって体内の「気(エネルギー)」、「」、「津液(体液)」の3要素がバランスよく保たれている状態が健康であり、これらの3要素が1つでも過剰になるか不足すると、体に異常が現れると考えられています。

また、陰陽五行説に基づき、体内の陰陽のバランスを整えることが重視されます。

陰とは体を冷やす静かなエネルギーであり、陽は体を温める活動的なエネルギーで、健康な状態とは、これら陰陽のバランスが適切に保たれている状態を指します。

 

漢方治療では、これらのバランスを整えることによって、健康を取り戻すことを目指しています。

 

漢方が選ばれる理由

漢方が選ばれる1番の理由は、通常の薬(西洋薬)と比べて副作用が非常に少ないことです。

自然由来の成分を使用しているため、化学薬品に比べて体への負担が小さく、長期間の使用にも向いています

特に、消化不良、アレルギー、皮膚病、関節痛など、慢性的な問題を持つ動物に対して、根本的な改善を目指します。

 

さらに漢方は、痛みを感じたら痛み止めというように、病気の個々の症状を治すのではなく、

体質そのものを改善するため、ホルモンバランスの乱れや原因がはっきりとしない病気の予防などにも有効です。

 

漢方によって効果のある疾患

<皮膚病>

・症状:アレルギー性皮膚炎、湿疹、脱毛 など

・治療の結果:皮膚の炎症が軽減し、痒みが減少。被毛の状態が改善し、新たな毛が生え始める。

 

<消化器系>

症状:食欲不振、下痢、嘔吐 など

・治療の結果:消化機能が改善し、食欲が回復。下痢と嘔吐の頻度が減少。

 

<精神的な問題>

・症状:過剰なストレス、不安、行動問題 など

治療の結果:精神状態が安定し、ストレスによる行動問題が軽減。より落ち着きのある行動を見せるようになる。

 

<関節の痛み>

・症状:関節炎、歩行時の異常な姿勢 など

治療の結果:関節炎による痛みや腫れを和らげる。関節の柔軟性を向上させ、運動時の不快感を軽減させる。

 

<老化>

・症状:体力の衰え、活動量の減少老化による慢性的な不調 など

治療の結果:腎の機能をサポートし、老化による体力の衰えに対抗する。体力の回復を助け、元気と活力を取り戻すのに役立つ。

 

漢方治療を行う際の大切なポイント

漢方治療の成功には、飼い主様の協力が不可欠です。

漢方の処方にあたって、愛犬や愛猫の日常的な症状や行動の変化などの情報はとても大切ですので、些細なことでも獣医師にお伝えください。

 

なお、漢方治療には多くの利点がありますが、すべての病気や症状に対して万能である訳ではありません

漢方治療の効果は動物の体質や状態、病気の種類によって異なりますので、漢方薬の投与にあたっては指示された用量や方法を正確に守りましょう

また、漢方治療は即効性を期待するものではなく、時間をかけて体質改善を目指すものであるため、根気強く続けることが大切です。

 

施術の流れ

東洋医学的診療では病気の診察をする時、四診という手法を使って行います。

 

望診(ぼうしん):舌、肉球の色、元気さ、歩様、精神状態など、色や動きを見る

聞診(ぶんしん):呼吸音・鳴き声を聞く、体・排泄物などの臭い

問診(もんしん):症状、環境、生活習慣などの情報を聞く

切診(せっしん):脈、体の張り、冷えや熱感、関節の運動状態を触って確認する

 

西洋医学が臓器にわけて細かく分析し、悪いところを取り除くのが得意なのに対して、東洋医学では動物の体質などを全体的に捉えて(心と体は一体)、自然治癒力を向上させることを得意としています。

どちらの医学にも得意・不得意があるため、漢方を処方する場合であっても西洋医学的検査をきちんと行うことで、より効果的な治療を行えます。

さらに、治療法は検査結果をもとに薬物療法や食餌療法、外科手術、漢方治療などから適切なものを選択し、場合によっては複数を組み合わせて治療を行います。

 

実際の事例紹介

当院では犬や猫の他にも、ウサギや鳥なども、漢方治療を通じて健康を取り戻した実例があります。

例えば、精神的な不安がある子、精神的ショックから下痢になる子、ウサギの胃腸炎、猫の慢性腎臓病、膀胱炎、悪性腫瘍、甲状腺機能亢進症などにも効果が見られました。

飼い主様からも「漢方治療を始めてか愛犬が以前よりも活動的になった」「長年の悩みが解消された」といった声が多く寄せられました。

 

術後のケア

漢方治療を受ける際には、ご家庭でのバランスの取れた食事と生活習慣の管理も大切です。適度な運動は体内の気の流れを促進し、健康状態を改善するのに役立ちます。

 

そして、漢方薬を安全に活用するには、獣医師の指示に従い、過剰投与や不適切な使用を避けることが重要です。動物の体調や反応を定期的に観察し、必要に応じて治療計画を調整することも必要です。

 

まとめ

動物の健康管理において、漢方治療は有効なアプローチの一つです。自然由来の成分を使用した治療法は、副作用が少なく、慢性的な症状の改善や予防に役立ちます。

 

漢方治療の分野は、研究と技術の進歩により日々進化しています。将来的には、より多くの動物専用の漢方薬が開発され、効果や安全性がさらに向上することが期待されています。

漢方治療にご興味がございましたら、ぜひ当院にご相談ください。

 

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