獣医師コラム

仔犬・仔猫を迎えたら│病気編

「仔犬や仔猫に健やかに育ってほしい」

 

これは仔犬や仔猫を迎えた全ての飼い主さんが願うことではないでしょうか。

仔犬や仔猫は人間と同じで、成長すれば体調を崩すことや病気を発症することも少なくなりますが、幼少期では、普段の過ごし方次第で気をつけなければならない病気がたくさんがあります。

今回は仔犬や仔猫のかかりやすい病気についてお話しします。

 

仔犬の時にかかりやすい病気について

〇伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)

仔犬は母親の初乳(出産後初めて飲む母乳)から免疫をもらうことで、幼少期(生後1~2ヶ月)の感染などから身を守ります。

しかし、これが十分でなければ容易に感染してしまう可能性があります。

最も多く見られる仔犬の病気は伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)です。

その原因はウイルスや細菌などで、感染している仔犬から蔓延してきます。

症状はくしゃみや鼻水、咳などの呼吸器症状が多いですが、悪化すると肺炎まで進行する場合もあります。

自然治癒することもありますが、症状が改善しない、もしくは悪化していく場合は治療が必要です。

症状が見られる場合は動物病院を受診し、状態に合わせて薬を処方してもらいましょう。

また、ワクチン接種を行うことで、この疾患に関与するウイルスは予防(完全に発症を抑えられるものではなく、発症した場合にほぼ軽症で抑えられる)できるため、必ず接種しましょう。

〇胃腸炎

次に仔犬に多く見られる病気は「胃腸炎」です。

仔犬は、口にするもの全てが初めてであるため、おやつやご飯を新しいものに変えただけで吐いてしまったり下痢をしてしまったりします。

また、異物の誤食が原因で胃腸炎を起こすこともあります。

食べたものが、味付けが濃いもの、胃腸粘膜を傷つけるもの等であれば症状として出てくることがあります。

小さなものや紙切れなどの柔らかいものであれば便で出てくることもありますが、大きなものや尖ったものは胃の中に残っていたり、腸に流れて途中で詰まってしまうことがあります。

中毒物質(チョコレートや玉ねぎなど)を食べてしまうこともありますので注意が必要です。

治療や処置としては、単純な胃腸炎であれば整腸剤や吐き気止め、下痢止めなどで対症療法を行います。

異物誤食の場合、食べた直後であれば動物病院にて催吐処置を実施できますが、大きさや形状によっては全身麻酔をかけて内視鏡で摘出しなければならない場合があります。

腸に詰まってしまった場合は手術が必要です。

仔猫の時にかかりやすい病気について

〇ウイルス性鼻気管炎

仔猫がかかりやすい病気としては「ウイルス性鼻気管支炎」があげられます。

この病気もウイルスの感染によって引き起こされ、他の仔猫に伝染していきます。

鼻水やくしゃみ、目脂が主な症状で、悪化すると重度の結膜炎などで目が開かなくなってしまうこともあります。

治療や処置としては、点眼や抗生物質やインターフェロンの投与となります。

〇皮膚糸状菌症

「皮膚糸状菌症」も仔猫によく見られる病気です。

この病気は免疫力の低い仔猫(仔犬にも見られることがあります)などに起きやすい皮膚病で、「糸状菌」というカビの一種が皮膚に感染して皮膚炎を引き起こします

顔(特に耳や鼻口周り)に症状が出ることが多く、大量の鱗屑(りんせつ)や痂皮(かひ)、いわゆるフケが出てきます。

痒みを伴うこともあり、掻いたところに飛び火して全身に広がってしまいます。

また、この病気は猫同士で感染が広がるだけでなく、人間にも感染します。

治療や処置としては、抗真菌剤による治療(軟膏や飲み薬)が必要になりますので、症状が疑われる場合は早めに動物病院を受診しましょう。

まとめ

仔犬や仔猫は体も小さく免疫力も弱いです。

しかし病気について事前に知っておけば予防ができるものもあります。

我々人間が責任を持って、幸せな生活を送れるようサポートしてあげましょう。

当院では、仔犬と接する際の注意点や基本的な考え方を学ぶための「パピーパーティ」を週に1度開催しています。仔犬を迎え入れたばかりの飼い主さんは、ぜひご参加ください。

※生後4ヶ月までの仔犬(初回ワクチン接種後1ヶ月以上経過し、健康で検便済であること)が対象です。

<パピーパーティについての詳細はこちら>

<パピーパーティの様子はこちら>

富山県射水市の動物病院 吉田動物病院
TEL:0766-52-1517

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