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獣医師コラム

血尿だけじゃない?犬や猫の赤いおしっこに隠れた体からのサイン

愛犬や愛猫のトイレを見て「おしっこが赤い!」と驚き、不安な気持ちになったことはありませんか?

「どこかで出血しているの?」「重大な病気だったらどうしよう」と心配になりますよね。

実は、赤く見えるおしっこには、血液が混じっている「血尿」以外にも、別の原因で色がつくケースがいくつかあります。

 

今回は、赤い尿の正体や考えられる原因、受診時に役立つ知識を、獣医師の視点からわかりやすくお伝えします。

 

 

■目次
1.「赤い尿」にはいくつかの種類がある
2.血尿とは?|膀胱や尿路からの出血が原因
3.血色素尿・ミオグロビン尿|血尿とは異なるサイン
4.動物病院で行う検査と「診断の考え方」
5.受診前に準備しておきたいポイント|動物病院が教える採尿のコツ
6.まとめ|赤い尿に気づいたら早めの相談を

 

「赤い尿」にはいくつかの種類がある

犬や猫の尿が赤く見える理由は、大きく分けて次の3つがあります。

いずれも見た目は赤〜茶色っぽく見えることがありますが、以下のように原因となる臓器や体の異常は異なります

 

1.尿路からのサイン(血尿):膀胱や腎臓など、おしっこの通り道で出血している状態。

2.血液の異常(血色素尿):赤血球そのものが壊れてしまい、色成分が漏れ出している状態(中毒など)。

3.筋肉のダメージ(ミオグロビン尿):激しい運動や事故などで筋肉がダメージを受け、成分が尿に出ている状態。

 

この違いを見極めることが、治療方針を考えるうえでとても重要になります。

 

血尿とは?|膀胱や尿路からの出血が原因

血尿とは、尿の中に赤血球が混ざっている状態を指します。膀胱や尿道、腎臓など、尿が作られたり通過したりする場所から出血が起こることで見られます。

赤い尿の中では比較的よくあるケースで、日常診療でも相談が多い症状の一つです。

 

血尿が出ている場合、尿全体が赤くなることもあれば、最後のほうだけ赤く見えることもあります。また、血の塊が混ざることもあり、見え方には個体差があります。

 

考えられる原因

血尿の背景には、いくつかの病気や状態が関係しています。

 

膀胱炎

細菌感染やストレスなどがきっかけとなり、膀胱の粘膜が炎症を起こして出血します。排尿の回数が増えたり、少量ずつ何度もトイレに行ったりする様子が見られやすいです。
猫の特発性膀胱炎についてはこちらで解説しています

 

▼尿路結石

膀胱や尿道に結石ができると、粘膜を傷つけて出血することがあります。排尿時に違和感が出たり、途中で止まったりする場合もあります。
猫の尿路結石・尿管結石についてはこちらで解説しています

 

腫瘍

膀胱や尿路の腫瘍では、慢性的に血尿が続くことがあり、元気や食欲の変化が目立たない場合もあります。

 

そのほか、事故や打撲などによる外傷強い炎症が関係するケースも考えられます。

 

血色素尿・ミオグロビン尿|血尿とは異なるサイン

「赤い尿=血尿」と思われがちですが、血尿ではないケースが最初にお伝えした「血色素尿」「ミオグロビン尿」です。

これらと「血尿」を見た目だけで区別するのは難しく、検査によって初めて判断できることがほとんどです。

 

血色素尿

血色素尿は、赤血球が体の中で壊れ、その成分である血色素が尿に出てくる状態です。

ネギ類などの中毒、免疫の異常、溶血を引き起こす病気が関係することがあります。

尿の色は赤褐色濃い茶色に見えることが多いです。
中毒の原因と危険な食べ物についてはこちらで解説しています

 

ミオグロビン尿

ミオグロビン尿は、筋肉が強く損傷した際に起こります。事故による打撲や長時間の圧迫、過度な運動などがきっかけになることがあります。

血尿と同じように赤く見えますが、筋肉の異常が背景にある点が大きな違いです。

 

動物病院で行う検査と「診断の考え方」

ここまでお伝えしてきたように、赤い尿には何かしらの原因や予兆が見られます。

そのため、動物病院にお越しいただいた際は、まず問診にて、飼い主様から「血尿が出る前はどのような様子だったか」「変わったことはないか」といった情報を丁寧に伺います。

 

専門的な検査として、基本となるのは尿検査です。

尿検査では、試験紙を使って尿の性質を確認したり、尿を分離して沈渣(ちんさ)した成分を顕微鏡で確認し、赤血球や細菌、結晶の有無から尿の異常を調べていきます。これにより、本当に血尿なのか、炎症や結石が関係していないかといった手がかりを得られます。

 

しかし血尿は尿検査だけではなく、体全体の状態を踏まえ、複数の情報を組み合わせて考えていくことが重要です。

必要に応じて、血液検査で全身の状態を確認したり、レントゲン超音波検査で結石の影や膀胱や腎臓の形を見たりすることもあります。

 

当院では複数の獣医師やスタッフが情報を共有するチーム医療の体制を整えています。

そのため、一つの考えに偏らず、検査や経過を総合して多角的に診断・治療方針を相談のうえ決めていきます。

愛犬・愛猫にとっては苦しみが軽減し負担が少ない治療を、飼い主様にとっても納得できる方法をお選びいただけるように努めています。

 

受診前に準備しておきたいポイント|動物病院が教える採尿のコツ

正確な診断を行うためには、新鮮な尿による検査が欠かせません。もちろん病院内での採尿も可能ですが、慣れない環境では排尿を我慢してしまう子も多いため、リラックスできるご自宅で採取いただくのが理想的です。

診察の際は、なるべく新しいおしっこを液体の状態で、清潔な容器に入れてお持ちください。あらかじめ尿をお持ちいただくことで、検査までの待ち時間を短縮でき、愛犬・愛猫のストレス軽減にもつながります。

 

採尿のコツ

「採尿」と聞いて「家でうまく取れるかな?」と不安に思うかもしれませんね。ここでは簡単にできる方法をご紹介しますので、無理のない範囲でチャレンジしてみてください。

 

裏返したペットシーツ:ペットシーツを裏返して敷き、水たまりになった尿をスポイトや清潔な容器で吸い取ります。

おたま・トレイを使う:お散歩中に排尿する子は排尿のタイミングに合わせて、サッとおたまを差し込みます。

システムトイレ:トイレの下段のシーツを敷かずに、トレイに溜まったものを回収します。

 

ただし、猫砂に染み込んだ尿では検査に使えないため、砂のご持参は不要となります。

お家で採取が難しい場合は動物病院にご相談ください。

 

問診で伝えていただきたいこと

病院では緊張してしまう子も多いため、ご自宅での何気ない変化が原因特定の大切なヒントになります。

診察の際にはぜひ以下のポイントをお聞かせください。

 

Q.食事内容に変わりはありませんか?

最近、タマネギやニラなどのネギ類を含む食べ物を、誤って口にしてしまった可能性はないでしょうか。

 

Q.落下や追突など体に衝撃を受けた可能性はありませんか?

高い所からの落下や打撲など、外傷のきっかけになるような出来事がなかったか思い返してみてください。

 

Q.トイレの回数やしぐさに違和感はありませんか?

「何度もトイレに行くが少量しか出ない」「排尿後もいきんでいる(残尿感がある)」など、普段との違いを確認してみてください。

 

飼い主様が感じた「いつもと違う」という直感には、重大なサインが隠れていることも少なくありません。どんな些細なことでも、診断を支える貴重な情報となります。

 

まとめ|赤い尿に気づいたら早めの相談を

「赤いおしっこ」には、一刻を争う緊急事態から、じっくりと体質改善に取り組むべきものまで、さまざまな原因が隠れています。これらを見た目だけで判断するのはプロの獣医師でも難しく、検査をして初めて本当の正体が判明します。

 

普段から排尿の様子を記録したり、食事や行動を気を付けて観察してみることで、愛犬・愛猫の変化に気づきやすくなります。

少しでも気になる変化があれば、早めに動物病院へ相談することが大切です。

不安なことがあれば、当院までお気軽にご相談ください。チームで手厚く丁寧に、大切なご家族をサポートいたします。

 

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