冬のイベントで多発する犬と猫の誤飲誤食|食材や飾りに潜むリスクとは
冬は犬や猫にとって誤飲誤食が増える季節です。
クリスマスや年末年始は食べ物が並んだり、きらびやかな飾りが増えたり、来客が多くなったりと、普段とは違う環境になります。
ちょっとした油断で危険な物を口にしてしまうケースが少なくありません。
吉田動物病院でも、冬の時期は誤飲誤食に関するご相談が増える傾向があります。
今回は、冬ならではのリスクや注意したいポイントをまとめ、安心して季節の行事を楽しむためのヒントをお伝えします。

■目次
1.冬に多い危険な食べ物|イベント料理・煮汁・お菓子など
2.冬に気をつけたい植物・飾り・家庭用品
3.誤飲誤食の中毒で起こりやすい症状と緊急度の判断
4.誤飲誤食、中毒が疑われたときの初期対応と「病院に伝えるべき情報」
5.誤飲誤食だけじゃない、冬ならではの体調トラブル
6.まとめ
冬に多い危険な食べ物|イベント料理・煮汁・お菓子など
冬のイベントで並ぶ料理は、犬や猫にとって誘惑の宝庫です。
クリスマスディナーやお正月料理は、私たちにとってごちそうでも、動物たちには中毒の原因になったり、体調不良を招いたりする食材が多く含まれています。
「チョコレート」や「タマネギ(ネギ類)」にくわえて、冬に特に気を付けたい代表的な危険食材には以下のようなものがあります。
▼アルコール
年末年始はお酒を飲む機会が増えます。グラスに残ったアルコールをなめただけでも嘔吐やふらつきが起こることがあり、危険です。
▼お餅や団子
粘りが強く、喉に詰まったり、胃腸で停滞したりすることがあります。
▼骨付き肉の骨
調理後の骨は裂けやすく、とがった部分が胃腸を傷つけるリスクがあります。
▼鍋物や煮物の煮汁
塩分や脂肪が多く、香辛料も含まれるため、少量でも胃腸症状や膵炎の引き金になる恐れがあります。鍋の残りを舐めてしまう事故も少なくありません。
また、来客時はテーブルの下で落ちた食べ物を拾ったり、袋の中に頭を突っ込んでしまったりと、普段より誤食の機会が増えます。みなさまで集まるシーンほど注意が必要です。
冬に気をつけたい植物・飾り・家庭用品

冬は室内の装飾も増え、犬や猫が興味を持つアイテムがあふれます。
植物
クリスマスに飾るポインセチアは、口にするとよだれが増えたり嘔吐したりすることがあります。
ヒイラギやヤドリギなどの葉っぱや実も、誤食による中毒の原因の一つです。
クリスマス・正月飾り
リボンや紐、ラッピング資材は猫で特に多い誤飲物です。細長い物がお腹の中で絡まると腸閉塞や腸重積を起こし、緊急処置が必要になります。
ガラス製オーナメントは割れると鋭利な破片を飲み込み、胃腸を傷つける恐れがあります。また、電飾コードは噛んでしまうと感電の危険があり、この時期に要注意なトラブルです。
冬の家庭用品・保温グッズ
使い捨てカイロには鉄粉や金属塩が含まれています。袋を破って噛みちぎると誤飲につながり、体調不良を引き起こしかねません。同じく、保温グッズやクッションに使われるビーズ状素材も、誤って飲み込むリスクがあるでしょう。
さらに、暖房機器のコードを噛んでしまう事故や、ストーブに近づきすぎてしまうことで火傷を負うケースも見られます。
誤飲誤食の中毒で起こりやすい症状と緊急度の判断
犬や猫が誤って異物を飲み込んでしまった場合、できるだけ早く気づき、対応することが重症化を防ぐ鍵になります。
誤飲誤食の初期サイン
誤飲誤食の初期サインにいち早く気づくことが、愛犬や愛猫の命を守ることにつながります。
・嘔吐を繰り返す
・よだれが増える
・食欲の低下
・お腹が張る
・便が出にくくなった
さらに、中毒を引き起こすと以下のような症状が現れることがあります。
・震え、ふらつき
・呼吸が荒くなる
・ぐったりして反応が鈍い
緊急度の目安
緊急度の目安としては、「危険物を食べていないか」です。以下を参考にしてみてください。
▼チョコレート・タマネギ・薬・アルコール
→ すぐに病院へ相談したい危険物です。
▼紐類・針・ガラスなどの鋭利な物
→ 数時間単位で悪化するため、早急な対応が必要です。
▼煮汁や脂肪分の多い料理
→ 膵炎が疑われる場合は当日中の受診をおすすめします。
誤飲誤食、中毒が疑われたときの初期対応と「病院に伝えるべき情報」
誤飲誤食が疑われる場面では、焦りから自己判断で対応してしまうことがあります。
しかし、誤って「吐かせる」「油や牛乳を飲ませて流し込む」「口の奥に手を入れて無理に取り出す」といった行動は、かえって危険なことがあります。
正しい初期対応は次の通りです。
・食べた可能性がある物を確保し避けておく(袋・ラベル・破片など)
・いつ、どのくらい、何を口にしたかをメモしておく
・危険物の誤食や症状がある場合は、病院へ電話で相談する
危険な食材や紐・ガラス片などを飲み込んだ疑いがあるとき、または嘔吐・震え・ぐったりするなどの症状が出ているときは、救急で動物病院へ行きましょう。
迷った場合も早めに相談することが重症化を防ぐポイントです。
病院では、以下の情報があると診断がスムーズに進みます。
・誤飲誤食した物の名前や成分
・食べた量と時間
・症状の有無
・誤飲誤食に気づいたときの状況
スマートフォンで食べた物や食べた後の様子を写真や動画で撮影していただくと、重要な診察の手がかりとなります。
富山エリアで誤飲誤食が起こったら?吉田動物病院の診療体制
吉田動物病院では、誤飲誤食や中毒の相談に迅速に対応しています。救急の場合はまずはお電話でお問い合わせください。夜間は19時まで(木曜日を除く平日と土曜日)開院しております。
誤飲誤食の急患の場合は、レントゲン検査や超音波検査、血液検査を組み合わせ、状況に応じて内視鏡による異物除去にも対応しています。
どんな状況でもできる限り負担の少ない方法を考えながら進めますので、安心してご相談ください。
誤飲誤食だけじゃない、冬ならではの体調トラブル
冬は誤飲誤食のトラブルが増えるだけでなく、体の変化が出やすい季節でもあります。
人間と同じように、冬は犬や猫にとっても環境の影響を大きく受けやすく、ちょっとした変化が体調不良を引き起こすリスクが高まります。
・水分量減少による泌尿器トラブル(頻尿・血尿・猫の尿路閉塞)
・乾燥による皮膚のかゆみや荒れ
・寒さと乾燥で鼻や喉の粘膜機能の低下
特にシニア期の犬や猫は体温調整の難しさから「関節のこわばり」や食欲が落ちて体力低下につながることもあります。
冬は散歩を控えるなど動きが少なくなることも重なり、関節への負担が増えたり、持病がある場合は症状が強く出やすくなる傾向があります。普段よりも、ちょっとした変化に気づいてあげることが大切です。
まとめ
冬のホリデーシーズンはイベントのお料理や植物、飾りなど普段は家にない物や機会が増えることで誤飲誤食のリスクが高まります。
さらに、寒さや乾燥といった環境の変化も体調に影響しやすく、泌尿器・皮膚・呼吸器などさまざまな部分にトラブルが起こりやすくなります。
日々の健康管理についてはかかりつけの獣医師と話し合いながら進めることで、いち早く変化に気付き、より安全に過ごしやすくなります。
吉田動物病院では季節ごとの健康相談にも対応していますので、冬の暮らしで気になることがあればいつでもご相談ください。
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