「風邪かな?」と思ったら…冬に多い猫の呼吸器の病気
冬になると、くしゃみをしたり、鼻がグズグズしたりする愛猫を見て、「風邪をひいたのかも」と心配になることがありますよね。
ただ、猫の呼吸器の不調は、気温の変化だけでなく、ウイルス感染や炎症などの病気が原因となっていることも少なくありません。
特に寒さや乾燥、室内の換気不足が重なる冬は、呼吸器に負担がかかりやすい季節です。
今回は、愛猫が冬にかかりやすい呼吸器のトラブルや病気について、原因や見分け方、冬前からしたい予防策までわかりやすく解説します。

■目次
1.猫の呼吸器と冬に多いトラブル
2.「風邪かな?」と思ったときのサイン
3.よく見られる呼吸器の病気
4.受診のタイミングと病院で行う検査
5.猫の呼吸器のために冬前からできること|ワクチンと予防の大切さ
6.まとめ|気になる変化は早めにご相談を
猫の呼吸器と冬に多いトラブル
猫の呼吸器は、鼻や喉、気管、肺が協力しながら空気を送り込み、酸素を体に届けています。鼻の粘膜でホコリをキャッチし、適度な湿度と温度に調整する大切な役割もあります。
しかし冬は、空気が乾燥しやすく室内外の温度差も大きいので、粘膜のバリアが弱まりやすい時期です。
暖房で室内が乾燥することもあり、ウイルスや細菌が広がりやすい環境になってしまいます。免疫力も低下しがちなので、いつもより体調を崩しやすいタイミングです。
「風邪かな?」と思ったときのサイン
次のような変化が見られたら、呼吸器の不調を疑いましょう。
初期の軽い症状
・くしゃみが増える
・鼻水が出る
・鼻づまりの音が聞こえる
・目やにが増える
・咳が出る
・少し元気がないように見える
これらの症状が見られる場合でも、放っておくと悪化する可能性があるため、様子をよく観察してください。
注意したい重度の症状
・呼吸が速くなる
・口を開けて呼吸している
・胸の動きが大きく、苦しそうに見える
・ぐったりしている
これらは、呼吸器に強い負担がかかっているサインです。状態が急変する恐れもあるため、早めの受診が大切です。
ご家庭でできる観察ポイント
愛猫の体調の異変に気づくためには、日頃の様子とその変化に目を向けることが大切です。
たとえば、静かなときに胸の動きを観察し、1分間に何回呼吸しているかを数えておくと、いつもとの違いに気づきやすくなります。
また、食欲や水を飲む量、鼻先の色や湿り気の具合の変化も健康状態を見極める重要な手がかりです。
呼吸が荒いときや咳が出ているときは、その様子をスマートフォンなどで動画に記録しておくのもおすすめです。
受診の際に普段との違いや、実際の症状の様子を獣医師に伝えていただくことで、より正確な診察につながります。
よく見られる呼吸器の病気
ここでは、冬に見られることの多い代表的な呼吸器の病気についてご紹介します。
それぞれの特徴を知っておくことで、愛猫の異変にいち早く気づくきっかけになります。
▼猫風邪(猫上部気道感染症)
冬に見られる呼吸器に関する代表的な病気です。主にヘルペスウイルスやカリシウイルスといったウイルスが関係しており、涙目、くしゃみ、鼻水、口内炎などの症状が見られます。
▼気管支炎
気管支に炎症が起こると、ゼーゼーという呼吸音や咳が続くことがあります。
特に運動した後に症状が悪化する場合は注意が必要です。
▼鼻炎・副鼻腔炎
鼻の粘膜や副鼻腔に炎症が起こると、鼻づまりや慢性的な鼻水が見られます。
呼吸がしづらくなることで、食事の匂いが感じにくくなり、食欲が落ちることもあります。
▼肺炎
肺にまで炎症が及ぶと、呼吸が苦しそうに見えたり、発熱やぐったりした様子が見られたりすることがあります。
症状が進行すると体力が消耗し、回復に時間がかかることも少なくありません。
少しでも気になる症状が続く場合は、悪化を防ぐためにも早めの受診を心がけてください。
受診のタイミングと病院で行う検査
2日ほど様子を見ても症状が改善しない場合や「呼吸が速くなる」「食欲が落ちる」「元気がどんどんなくなっていく」などの変化が見られたときは、受診を検討しましょう。
特に呼吸の異常や全身状態の悪化が見られる場合は、早めの診察が安心です。
動物病院では、呼吸の状態や体の動き、体温、粘膜の色などを丁寧に確認します。
必要に応じて、レントゲン検査、血液検査、ウイルス検査などを行い、体の中で起きている変化を詳しく調べていきます。
原因を早く見つけて対応することで、重症化を防ぎやすくなり、症状の慢性化を避けることにもつながります。
猫の呼吸器のために冬前からできること|ワクチンと予防の大切さ
寒さが本格化する前に、愛猫の健康を守る準備をできることから始めていきましょう。
ワクチンによる予防
ウイルスや細菌による感染症を予防する方法のひとつが、ワクチン接種です。
混合ワクチンの接種によって、猫風邪の原因となるヘルペスウイルスやカリシウイルスにくわえ、クラミジア感染症の予防にも期待できます。
冬は空気が乾燥しやすくウイルスが広がりやすい季節です。体調が安定しているうちにワクチン接種を検討してみてはいかがでしょうか?
日常でできる予防ケア
日々の暮らしの中でも呼吸器の健康を守るための工夫ができます。
特に冬場は、室内の環境を整えてあげることが大切です。
呼吸器にやさしい環境をつくるために、次のようなポイントを意識してみましょう。
・加湿器などを活用して、室内の乾燥を防ぐ
・急な温度変化が起きないよう、暖房や寝床の位置を調整する
・定期的に窓を開けて換気をし、こもった空気を入れ替える
・静かで安心できるスペースを用意し、ストレスを軽減する
こうした環境づくりは、愛猫のストレス軽減にもつながり、免疫力を保つうえでも役立ちます。
まとめ|気になる変化は早めにご相談を
冬には、猫にくしゃみや鼻水など「風邪かな?」と思うような症状が見られることがあります。軽い症状に見えても放っておくと悪化したり、回復に時間がかかってしまったりすることがあるため、気になる様子が見られたら早めに動物病院へご相談ください。
混合ワクチンの接種は、冬支度のひとつとしてもおすすめです。
呼吸器感染症の予防につながるだけでなく、毎年の健康チェックの機会にもなります。
小さな変化やお困りごとでも構いません。気になることがあれば、当院が親身にサポートいたしますので、ぜひご相談ください。
富山県射水市の動物病院 吉田動物病院
TEL:0766-52-1517
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