犬の「ガバッ」「ゲコゲコ」は吐出?嘔吐?吐き方の違いと観察のポイント
愛犬が食べたものを「ガバッ」と出した
「ゲコゲコ」とえづくように吐いている
「カハッ」とむせたように見えることが増えた……
このように犬の「吐く」行動にはパターンがあります。
実は、この「吐く」には大きく分けて「吐出(としゅつ)」と「嘔吐(おうと)」という2つのタイプがあり、それぞれで原因や対応の方向性が異なります。
そのため、吐いたときの様子や、吐く前の行動をよく観察することが、原因を見極めるうえで重要な手がかりになります。
今回は、犬の吐き方の観察ポイント、原因の方向性、受診時にうまく伝えるコツを分かりやすく解説します。

■目次
1.吐出(としゅつ)とは|お腹を使わず「ガバッ」と出る現象
2.嘔吐(おうと)とは|「ゲコゲコ」お腹を動かして出す反応
3.動物病院でできること|知りたいのは「吐き出すまでの動作」
4.愛犬が吐いたときにできること|動画やメモが診察の手がかりに
5.まとめ|「吐き方」を知ることが、原因の見極めにつながる
吐出(としゅつ)とは|お腹を使わず「ガバッ」と出る現象
吐出とは、お腹に至る前に内容物が食道やのどの近くから押し戻されるように出てくる現象です。
吐く直前の前触れが少ないことが多く、腹圧(お腹が波打つような動き)が目立ちにくい傾向があります。
典型的な吐き方として、食事の直後に「ガバッ」「ダバッ」と出たり、飲んだ水をすぐ口から出したりします。ときに「カハッ」とむせたような動作と一緒に起きるため、咳との見分けが難しい場面もあります。
また、吐出で出てくるものには、次のような特徴が見られます。
・未消化に近いフードが形のまま出る
・唾液が多い
・水だけが出る
吐出の原因
このような吐き方になる原因は、胃より前の器官で異常が起きていることが考えられます。
たとえば、逆流や刺激による食道炎、食道内異物、食道の拡張、飲み込み(嚥下)の問題などです。
ここを見誤ると、胃腸の病気として対応してしまい、必要な確認が遅れてしまうことがあります。
犬の咳についてはこちらで解説しています
嘔吐(おうと)とは|「ゲコゲコ」お腹を動かして出す反応
嘔吐は、胃や腸の内容物を体が外へ出そうとして起こす反応です。
吐く前に、ソワソワと落ち着きがない、よだれが増えるなどの前触れが見られることがあります。
吐く瞬間は、「ゲコゲコ」「オエッ」という音とともに、腹圧がかかる動き(お腹が力む、波打つ)が目立ちやすいのが特徴です。
繰り返し吐く点も、吐出との違いとしてよく挙げられます。
嘔吐で出てくるものは、
・食事の途中の内容物
・泡状の液体
・黄色〜黄緑っぽい液体(胃液や胆汁が混ざったようなもの)
などで、強いニオイを伴うこともあります。
嘔吐の原因
原因の方向性としては、胃腸炎、食べ過ぎ、空腹による刺激、食事内容の変更、誤食、感染や寄生虫などがまず候補になります。
さらに、膵臓や肝臓など消化器の関連、腎臓など全身状態の影響が出ているケースもあります。
嘔吐は胃腸だけの問題に限らず考えられる可能性が幅広いため、吐く前後の状況や他の全身状態も重要な情報です。
犬の誤飲・誤食対策についてはこちらで解説しています
動物病院でできること|知りたいのは「吐き出すまでの動作」
動物病院では、まず問診で「吐く前の様子」や「吐き方」を飼い主様から丁寧に伺います。
問診で得られる情報が多いほど「食道寄りか、胃腸寄りか」といった確認すべき場所を整理しやすくなり、考えられる原因の方向性が定まります。
ただし、吐いたときの様子だけでは、すぐに判断がつかないこともあります。
そこで、問診で得られた情報をもとに、診察・触診では脱水の有無、粘膜の色、体重変化、腹部の張りや痛み、聴診などを確認し、全身状態を把握し、原因を特定していきます。
問診と診察を通じて、得られた情報を総合的に判断していきます。
吐出が疑われる場合の検査・治療の例
吐出が疑われるときは、食道の状態の評価が重要になります。
レントゲンで食道の様子を確認し、必要に応じて造影検査で通り道を見たり、内視鏡で食道の状態や異物の有無を確認したりします。
治療は、食事の形や回数の調整、食道の炎症を抑えるケアなど、原因に合わせて実施します。異物が疑われる場合は、内視鏡で取り除けるか確認し、状況によっては手術が必要になることもあります。
嘔吐が疑われる場合の検査・治療の例
嘔吐が疑われるときは、便検査・血液検査、レントゲンやエコーで胃腸や膵臓などの状態確認を行うことがあります。
治療は、吐き気を抑える治療、胃腸の負担を減らす食事管理、必要に応じて点滴などを組み合わせ、体調のサポートをします。
愛犬が吐いたときにできること|動画やメモが診察の手がかりに
吐いたときの状況が分かれば、原因や検査を絞り込める可能性が高まり、愛犬の体への負担を軽減することにもつながります。
飼い主様にとっては慌ててしまう場面かもしれませんが、落ち着いて様子を記録しておくと、のちの診察に大いに役立ちます。
そのために役立つのが「吐いた様子の動画」です。
スマートフォンで撮影する際は、嘔吐する前後の数十秒の様子を、愛犬のお腹の動きが分かるように全身を入れて撮るのがポイントです。
可能であれば音声も一緒に録画し、吐いたものは片づける前に見た目が分かるように映しておくと、獣医師が状況を把握しやすくなります。
しかし、吐く前から撮影を始めるのは難しいこともあるでしょう。
その場合は、吐いた「直後」からの撮影でも問題ありません。
また、ペット用の見守りカメラを設置している場合は、録画が残っていないか確認してみてください。
動画の撮影が難しいときは、簡単なメモを残すだけでもとても参考になります。
以下は、診察時に伝えていただきたい内容の一例です。
・吐いた時刻
・食後、何分~何時間後か
・食事の内容と量、水を飲んだかどうか
・拾い食いをした可能性があるか
・吐いた回数、吐物の見た目(色・内容物など)
・吐いた後の元気や食欲の有無
・便の状態(形・色・回数など)
できる範囲でメモや動画を残しておくことで、獣医師とのやり取りがスムーズになり、より的確な診断につながります。
まとめ|「吐き方」を知ることが、原因の見極めにつながる
犬の「吐いた」という行動は、吐出(食道やのど付近の問題)と嘔吐(胃腸からの反応)に分かれ、それぞれで原因や対応が異なります。
判断の手がかりとなるのは「吐く前後の様子」や「吐いたものの状態」です。これらの情報がそろうことで、動物病院での診察がより的確に進めやすくなります。
愛犬が苦しそうに吐く様子を目の当たりにすると、不安になってしまいますよね。
しかし、少しだけ冷静になって観察することで、診察時に役立つ情報を残すことができます。
「愛犬が吐いた」「最近よくえずいている」そんな心配があるときは、お気軽に当院へご相談ください。
富山県射水市の動物病院 吉田動物病院
TEL:0766-52-1517
