アニマルセラピーって何?動物が人の心に与える力と吉田動物病院での取り組みをご紹介
動物と触れ合うと、自然と気持ちが和らいだり、心が軽くなったりした経験がある飼い主様も多いのではないでしょうか。実はこうした感覚は、気分だけの問題ではなく「アニマルセラピー」という専門的な分野として世界的に注目されています。
近年では、教育・医療・福祉などさまざまな分野でその活用が広がっており、動物が人の心や体に与える良い影響は、科学的にも裏づけが進んでいます。
今回は、アニマルセラピーの基本や種類、吉田動物病院が地域で行っている取り組みについてご紹介します。

■目次
1.アニマルセラピーとは?目的・対象・専門性で分類される3つの活動
2.ファシリティドッグという特別な存在
3.動物と暮らすことが誰かの笑顔につながる
4.当院での取り組み|動物介在活動(AAA)で笑顔をつなぐ
5.まとめ
アニマルセラピーとは?目的・対象・専門性で分類される3つの活動
一般的に「アニマルセラピー」と呼ばれている活動には、実は正式な分類があり、主に以下の3つに分けられます。
1.動物介在教育(AAE)|学びを支えるパートナーとしての動物
・目的: 教育的支援・学習の促進
・対象: 子ども(特に発達特性のある子どもを含む)
・専門性: 教育現場のスタッフや支援者が関与
学校や学習支援の場で動物と関わりながら学ぶことで、集中力の向上やコミュニケーション力の育成などが期待されます。動物と過ごすことで安心感が生まれ、特に発達特性のあるお子様の教育支援において効果が報告されています。
2.動物介在活動(AAA)|ふれあいを通じた自然な笑顔の引き出し
・目的: 心の安らぎ・交流の促進
・対象: 高齢者・子どもなど、ふれあいを求める幅広い世代
・専門性: 医療従事者は関与せず、活動ボランティアや地域団体が主体
動物とのふれあいによって安心感や笑顔が生まれる活動で「セラピー犬による施設訪問」や「読み聞かせ」などがこれにあたります。治療行為ではなく、日常の中で自然に心がほどけるような交流を目的とした活動です。
3.動物介在療法(AAT)|医療の現場で活用される専門的支援
・目的: 医学的・心理的な治療支援
・対象: 医療・リハビリを受ける患者(主に小児や高齢者)
・専門性: 医師や看護師、リハビリスタッフが関与し、治療計画の一環として行われる
ファシリティドッグに代表されるように、動物が医療従事者とともに関わることで、患者の不安を和らげたり、リハビリ意欲を高めたりする支援が行われます。科学的な研究も進んでおり、アニマルセラピーの中でも最も専門性の高い分野です。
注目が高まる背景|人と動物の関係が「医療・教育・福祉」をつなぐ
近年では、動物と人との関わりが心身の健康に良い影響を与えることが科学的にも支持され、日本でもアニマルセラピーへの関心が高まっています。
少子高齢化やストレス社会といった背景の中で、動物の存在が人と人とのつながりを取り戻すきっかけになることもあり、地域での導入事例も増えてきました。
ファシリティドッグという特別な存在
アニマルセラピーの中でも特に専門的な存在として知られているのが「ファシリティドッグ」です。これは、医療現場で働くための特別な訓練を受けた犬で、実際に病院でのケアに関わっています。
・小児病棟で、手術前の子どもに寄り添う
・抗がん剤治療を受ける患者の心の支えとなる
ファシリティドッグは、不安や孤独を感じやすい医療の現場で、人の心をそっとほぐしてくれる存在です。癒しを超えた働きかけが、患者やその家族の前向きな気持ちにつながることもあり、近年ますます注目されています。
動物と暮らすことが誰かの笑顔につながる
動物と暮らすことは、飼い主様にとっての癒しや安心だけでなく、その存在が周囲の人々にも温かな影響を与えることがあります。
最近では、特別な訓練を受けていない家庭犬や家庭猫であっても、飼い主様の付き添いのもとで地域活動に参加する機会が増えてきました。たとえば、近所の集まりに顔を出したり、保育園の訪問に同行したりといった日常的な関わりの中で、地域にあたたかなつながりを生み出すことがあります。
また、特別な活動をしていなくても、愛犬との散歩のなかで地域の方との会話が生まれるなど、動物を通じた自然な交流が育まれることも少なくありません。
このように「犬や猫と暮らす」という日々の営みが、他の誰かの笑顔にもつながっていく――それは、個人的な幸せがやさしい循環となって広がっていく素敵なかたちだと感じています。
「動物を飼う=責任」だけでなく「動物と暮らす=地域にやさしい影響を与える存在になる」という前向きな広がりを、これからも大切にしていきたいと私たちは考えています。
当院での取り組み|動物介在活動(AAA)で笑顔をつなぐ
吉田動物病院では、アニマルセラピーの中でも「動物介在活動(AAA)」に力を入れて取り組んでいます。これは治療を目的とするものではなく、人と動物が自然に触れ合うなかで心が通い合い、安心や笑顔が生まれる時間を大切にした活動です。
実際の取り組みの一例として、次のような活動があります。
・図書館での読み聞かせ活動
発達特性のあるお子様が、犬と一緒に安心して過ごせる環境で本を読む活動です。犬に向かって声を出すことで緊張がやわらぎ、読書に対する自信にもつながります。
・高齢者施設への訪問活動
犬とのふれあいが自然な会話のきっかけになり、表情が柔らかくなる利用者の方もいらっしゃいます。
これらは「医療行為」ではありませんが、人と動物が過ごすあたたかな時間が心に穏やかな変化をもたらすことに、私たちは大きな価値を感じています。そして活動は動物たちにとっても、人と触れ合い楽しい時間を共有できる大切な機会です。
こうした取り組みを通じて実感するのは、動物がそばにいることで自然と心がほぐれ、前向きな気持ちが生まれるということです。これからも地域の皆さまと協力しながら、一頭でも多くの動物たちと、ひとりでも多くの人とのやさしいつながりを広げていきたいと考えています。ご興味のある飼い主様は、どうぞお気軽にお声かけください。
まとめ
アニマルセラピーは、特別な犬や猫だけが担うものではなく、日々の暮らしのなかに息づいています。愛犬や愛猫と過ごすひとときの安心や癒しは、飼い主様にとってかけがえのない支えとなり、それが時には地域の方々へとやさしく広がっていきます。
当院では、その温かなつながりを地域の中で育んでいくことを大切にしています。動物と人がそばにいることで自然と生まれる笑顔や前向きな気持ちを、これからも地域の皆さまと一緒に支えていければと考えています。
富山県射水市の動物病院 吉田動物病院
TEL:0766-52-1517
