インコが吐いた・黒い便が出た|メガバクテリア症の症状・治療・予防法
・セキセイインコに多いメガバクテリア症の症状・原因・治療法を、鳥の診療経験豊富な獣医師が解説します。
・嘔吐や黒色便は要注意のサインです。
みなさんはセキセイインコやコザクラインコで、嘔吐や下痢といった消化器症状をみられたことはないでしょうか。もしかしたら「メガバクテリア症」という病気にかかっているかもしれません。
メガバクテリア症は予防が難しく、治療が遅れると危険な状態におちいってしまうこともあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
そこで今回は、鳥のメガバクテリア症について詳しく説明していきます。

鳥のメガバクテリア症とは
メガバクテリア症とは、消化器症状を引き起こす感染症です。「マクロラブダス症」「AGY(Avian Gastric Yeast)」とも呼ばれていて、特にセキセイインコで蔓延しています。
セキセイインコ以外ではマメルリハ、コザクラインコ、キンカチョウなどでも症例が確認され、当院でも様々な鳥の診療にあたってきました。
発症すると、以下のような症状がみられます。
・嘔吐、吐出
・黒色便、未消化粒便
・食欲の低下
・体重の減少
また、症状が長く続くと衰弱死することもあります。
しかし、必ずしもこれらの症状がみられるわけではなく、無症状で経過するケースもございます。
こんな時は急いで動物病院へ
愛鳥が吐き戻しや黒色便、体重減少などの症状を見せたら、すぐに対応が必要です。
ケージ内にペットヒーターやカイロを設置し、室温を28〜30℃程度に保ってあげましょう。
また、他の鳥がいる場合は別室に移すか、ケージを分けて飛沫や糞の接触を避けるようにしてください。
そのうえで、なるべく早く動物病院までご連絡のうえ、受診いただくことをおすすめします。
当院は夜19時まで診療を行っています。診療時間外の急患の場合もご相談ください。
※通常、鳥の初診の方は午後5時までの受付をお願いしており、後日の来院をお願いする場合もございます。
原因
メガバクテリア症は、マクロラブダスという酵母(カビの仲間)が鳥の胃に感染することで発症します。
マクロラブダスは感染鳥が吐き戻した内容物や糞便中に含まれているため、これらを介して他の鳥へうつります。
一般的には親鳥が吐き戻した餌を雛に与える際にうつりますが、汚染した糞便が他の鳥の口中に入ることでもうつります。
診断方法
メガバクテリア症の主な診断方法は糞便検査です。
感染した鳥の糞便を顕微鏡で観察すると、マクロラブダスの存在を確認できます。マクロラブダスは非常に大きく、顕微鏡の検査で容易に検出できます。
治療方法
マクロラブダスは真菌の仲間なので、抗真菌薬を使った薬物療法を行います。
また、症状にあわせて胃薬や吐き気止めの薬、抗生物質などを使うこともあります。
当院では、粒便が見られる場合は「流動食」あるいは栄養素が豊富な総合栄養食「ペレット」への切り替えをご案内することもあります。
この病気は早い段階で治療を開始できれば、一般的に数週間で完治します。
しかし、治療が遅れ胃に重いダメージがかかってしまうと治療が長引くことや、マクロラブダスがいなくなった後も症状が続き徐々に痩せ衰え死亡してしまうケースもあります。
当院では「鳥類臨床研究会」に発足間もない頃から参加をし、長年鳥の獣医療に携わってきたプロフェッショナルが診療をいたします。
吉田動物病院には富山県外からお見えになる方も多くいらっしゃいます。安心してお任せください。
予防方法
今のところ画期的な予防薬はないため、メガバクテリア症に感染した鳥との接触を避けることや、早期発見が何よりも大切です。さらにメガバクテリア症は免疫の低下によって発症するため、寒冷や換羽栄養不良などのストレス要因にも日頃から注意をし、適切な飼育を心がけることも大切と考えます。
世界中で広く蔓延している病気であることから、新しく鳥を迎えた際にすでに感染している恐れもあります。
そのため、新しく鳥を迎え入れた際はなるべく早めに動物病院で糞便検査を受け、検査を受け結果がでるまでは同居鳥から隔離するようにしましょう。
また、1回の糞便検査では検出されないこともあるため、繰り返し検査をおこなうことも大事だと考えます。
まとめ
メガバクテリア症は予防が難しく、世界中で蔓延をしています。
そのため、新しく鳥を迎え入れた際は、健康診断を兼ね糞便検査を受けるようにしましょう。
そして嘔吐や下痢といった消化器症状がみられた場合はすぐに動物病院を受診し、早期治療に努めるようにしましょう。
愛鳥の健康で気になることがあったときは、ぜひお気軽にご相談ください。
富山県射水市の動物病院 吉田動物病院
TEL:0766-52-1517
