第10回WJVF記念大会に参加しました


10WJVF ( WEST JAPAN VETERINARY FORUM )記念大会に参加しました


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大阪で開催される学会です。

犬・猫を中心とした小動物臨床について様々なテーマで講演スケジュールが用意されていました。

713日と14日にわたり循環器病学ストリームと称して朝から夜までテーマを「犬の僧帽弁閉鎖不全症」と「猫の心筋症」絞って講演が組まれていたので私はこれに参加しました。


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今回のテーマはこれまでも多くの講演講義がされてきたものですが、近年の研究結果や循環器認定医の先生方の実際の診療での御経験を踏まえた内容になっており、自身の知識のアップデートができたのではと思います。

 また、これらの疾患は犬・猫の二大循環器疾患です。この二つを克服できれば非常に多くの犬と猫の苦痛を取ることができると言えます。克服は無理でも少しでも有効かつ生活の質をあげられる治療をめざしていこうと改めて考える機会となりました。

 

阿部素子





第21回日本獣医がん学会に参加してきました。

7月6~7日に東京で開催された学会に参加してきました。
今回のメインテーマは犬の軟部組織肉腫でした。この腫瘍は犬の皮膚の下にできる悪性腫瘍ですが比較的悪性度が低い腫瘍(転移しにくい)で、手術のみで完治する可能性がある腫瘍です。なのですが、この腫瘍は下の写真のように四肢(特に肘や膝より下)に発生することが多く、この場所は皮膚に余裕がないため切除が困難になることが多いです。腫瘍が取りきれないと再発する可能性があるため、大きくなる前に手術することが重要になります。もし同じような腫瘤ができている場合は、早めの診察をお勧めします。

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また抗がん剤の副作用(特に吐き気)についてのセミナーもありました。抗がん剤といえば人の治療でも使われていることから、皆さんご存知ではありますがどうしてもそのイメージは悪く、抗がん剤の名前を出しただけで拒否反応を示される方もいます。しかし一般的に使われている抗がん剤はどのような副作用がいつ出るかということが知られているため、適切な処置をしながら使用することによって大きなメリットを得ることができます。
リンパ腫のような病気の治療は手術ではなく抗がん剤による化学療法がメインになります。しかし病気で弱っている子に化学療法をするとどうしても副作用が出てしまいます。そこで吐き気などの副作用が出る前に予防的に治療をすることによって生活の質(QOL)を落とさずに治療することが重要になります。

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淺田慎也

6月30日東京でのハイブリッド医療セミナーに参加してきました


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●ハイブリッド医療とは
 オゾン発生装置、クラスⅣレーザー治療器、高圧酸素器などを用いて局所や全身治療を行う医療のことです。
その効果は老齢疾患、原因不明疾患、週末医療などに対しての支持療法に効果を認めます。また、従来の治療法との併用により迅速な治療効果の発現が期待できます。
 当院では上記の内オゾン発生装置とクラスⅣレーザー治療器を用いて日々の治療を行っています。


《オゾン発生装置》

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《クラスⅣレーザー治療器》
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1.オゾン療法
 注腸法(肛門からオゾンガスを注入する方法)で行うことが多く、全く痛みや不快感が無いのが特徴です。他にオゾン化オイルによる皮膚系治療やオゾン水による殺菌・消毒などがあります。安全性が高いため免疫力の低下や高齢の動物たちにはおすすめです。
 
★推奨される疾患
老齢性疾患(慢性腎不全など)、腫瘍、耳疾患、皮膚疾患、各種感染症、疼痛を伴う運動機能疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患など


2.レーザー療法
鎮痛、炎症抑制、微小循環の増加での組織修復や創傷治療の促進が期待できます。また、このレーザー治療器は動物の体重、体型、被毛に合わせて2波長を用いて最適な治療条件を自動設定します。
急性疾患では1日1回を3日連続から、慢性疾患では週3回から開始します。

●オゾン療法やレーザー療法を行うことで、本来外科手術が必要であった状態が軽減された結果、手術が回避され、保存治療へ変更できるケースが増えています。


院長 吉田俊一

第110回獣医循環器学会に参加してきました

 令和最初の3学会+1研究会合同学会です。
 毎年恒例で埼玉県の大宮で開催されております。

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  2016年に発表されたEPIC study(無兆候だが心拡大のある慢性房室弁疾患に対するピモベンダンの効果)をふまえて、今年ACVIM(アメリカ獣医内科学学会)のこの疾患の診断治療ガイドラインが改定されたことについての講演がありました。
 小型犬に多い心疾患である僧帽弁閉鎖不全症の治療について、ピモベンダンの投薬開始時期は以前のガイドラインより早い段階が推奨されること、そしてこれまでのガイドラインでは組み込まれていなかった手術による治療が含まれたことがこれまでとの違いです。
 また、この疾患の分類はこれまで通りA、B1、B2、C(慢性期、急性期)、D(慢性期、急性期)ですが、B1とB2の線引きが少し変更となりました。
 レントゲンで左心房のサイズの指標となるVLAS(脊椎左房サイズ)も新たに採用されました。
このことを踏まえてより効果的な治療を行えればと思っております。

 他に緊急時におこなわれる迅速簡易超音波検査(FAST)について、そして運動器のエコー検査についての講演を聴講してきました。

 非常に状態の悪い患者に対して、長時間の検査はさらに症状を悪化させ、救命率を下げる事にもなりかねません。といって、検査をしなければどこがどう悪いのかを特定できません。FASTは人の医療で活用されている迅速診断の為のエコー検査です。最近ではこれを獣医療に活用している施設も出てきました。
 この検査だけで全てがわかるわけではありませんが、当院でもより迅速に的確な診断と治療を行う努力を続けていきたいと思います。

 超音波診断装置は進化を続けており、最新機器では心臓の動きを3Dで解析することもできるようになっていますが、そこまでの高機能を備えていなくても、解像度の高い機種なら関節の筋、腱、脂肪、軟骨の状態をよくとらえることがます。レントゲンではわかりにくい小さな異常や、前肢後肢を動かしながらリアルタイムで関節等を観察できますので、今後超音波診断機器の活用範囲はさらに広くなりそうです。

阿部素子

SUBシステムについて学んできました。

 4月7日に日本大学で開催されたセミナーに参加しました。SUBシステムとは、尿管に結石がつまったり腫瘍ができたりするによって機能しなくなってしまったケースで腎臓と膀胱をカテーテルでバイパスするものです。2年ほど前に当院の淺田が同じセミナーに参加しましたが、その時より情報やシステムがアップデートされておりました。最近は、猫の尿管結石が大変増えており、このシステムが必要となるケースが多くなるかもしれません。


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高村文子

第20回日本獣医がん学会に参加してきました。

1月26〜27日に大阪で開催された学会へ参加してきました。

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 今回のメインテーマは肥満細胞腫という腫瘍でした。この腫瘍は犬・猫ともに発生頻度が高く、またいわゆる癌の中でも再発・転移が多いやっかいな腫瘍です。犬と猫では傾向が異なり、犬では皮膚にできる肥満細胞腫が多く悪性度が高い場合は、かなり大きく切除しないと再発する可能性が高くなります。一方、猫は皮膚に発生するものは良性が多く問題になることは少ないですが、内臓にできるタイプでは全身性に広がる場合は命に関わることもあります。
 この腫瘍の治療はまず第一に外科手術であり、その方法は今も昔も大きくは変わらないので今回の学会でも復習のようなものでしたが、昔と比べ変化が大きいのが内科治療であり、それが今回のメインでした。

 近年、獣医分野でも腫瘍に対する内科治療として分子標的薬と言われる薬が使われるようになってきました。従来の抗がん剤は細胞分裂を行なっている細胞を攻撃するため、癌細胞だけでなく骨髄や腸などの正常な細胞もダメージを受けてしまい、下痢や嘔吐、脱毛(動物では少ない)などの副作用が起きてしまうことが問題でした。しかし分子標的薬は癌細胞を標的に作用するため正常細胞への障害が少なく、従来の抗がん剤ほどは副作用が出にくいとされています。この薬により、内科治療の選択肢が増えました。
 ただし前述のように肥満細胞腫の治療は外科手術が基本です。しかし手術では取りきれない大きさや部位の腫瘍に対して、または転移を疑う肥満細胞腫に対しては補助治療が必要になります。放射線治療も有効ですが、残念ながらこの地域には行える施設がないため、内科治療が重要になります。

 悪性度が高い肥満細胞腫は、治療が困難な腫瘍の一つです。そのため手術と内科治療を組み合わせた治療のなかで、それぞれにあったものを選ぶ必要があると再認識しました。

淺田慎也